インセプション(2010)

夏休み映画「大作」担当。この手の大作感を出そうとしている映画はいまいち。というのが僕の中の決まり事だったのだけれど、この作品は見事にそれを覆してくれました。ぶらぼう。2010年12本目。
正直、設定すべてを理解できたとは思わない。難解というわけでもないが、少し複雑なゲームのようなもので、初見でも「なんとなく」分かるけど人に具体的に説明しようとすると言葉に詰まる、という感じ。
そのルールについていくだけでも必死なのに、レオナルド・ディカプリオの設定がストーリーをさらに複雑にする。え、どういうこと?という疑問はだいたいが夢の世界に係るディカプリオの不可解な言動による。ところで、彼の役どころは「シャッターアイランド」とややかぶるのだが、これは偶然だろうか。
この映画がすばらしかったのは、この類の映画が陥りそうな「分かる人にウケればいい」という態度を選択しなかった、その大衆を意識したスタンスにあると思う。エンターテイメントとしても高い水準で成立しており、知的興奮と映像のおもしろさの両輪で150分楽しみました。
ストーリーそのものはわりとシンプルだし、キャラクターは「設計士」「調合師」「偽造師」などとジョブのような役割分担がなかれ観客はなじみやすい。(余談だが、ここでスターオーシャン3が頭を過ぎった。)どの登場人物もなかなかいい味を出していたが、個人的に一押しはディカプリオの相棒だったジョセフ・ゴードン=レヴィット。終盤の彼のアイディアとアクションには思わず心の中で声援を送ってしまった。もちろんエレン・ペイジもすばらしくて、ディカプリオの秘密に急速に迫っていく彼女の好奇心とその積極性と、その後、彼を支えようとする献身的な姿勢が魅力的でした。
ラストでは駒が倒れたと思いたいんだけれど、詳しく調べると反証されそうなので踏み込めない。